台所デビュー

休日。

抗生物質のおかげで朝から3人揃った。

朝食の片付けをしながら洗濯機を回し、ふと思いつく。

冷蔵庫からトマトを一個取り出した。

「ヒロさん、ちょっと来て」

なになに、とやってきた夫に包丁を渡し、

「まず、こう半分に切って、それをまたこう半分に切って。それからこの角の葉っぱのところを斜めに切り落とす…やって」

わけもわからず包丁を握る。

握り方の見本を見せてやり直し。

緊張して下ろした刃先に力を込める。

ちがう、押さ無いで、引く、向こうからこっちに、、引く。ちがーう、引く、そう!上手!うまい!その感じ!そーう!

トマトを四つ割りに切り終えて、ハイ、と逃げて行こうとするのをすかさず捕まえる。

「はい、次は冷蔵庫から茹でたブロッコリーの入ったタッパー出して」

「えっ、えっ?どれ、?これ?」 

「お小皿三つだして、トマトとブロッコリー、乗せて」

息子がニヤニヤ通過する。

はい、完成。

今日のお昼は生姜焼き…と、父さんが初めて作ったトマトサラダ。