文鎮がいない

夫が今日は出社して行った。

帰宅は9時過ぎになるそうだ。つまらん。

と、同時になんだろう、この開放感。

別に彼が家にいて、息をじっと潜めているわけでもない。

頭の隅で「昼ごはん、抜く気かしら、食べるならいいかげん食べておかないと夕飯に響くのになあ」とか「今、二階はウェブ会議中かしら、ちょっとあの部屋に用があるんだけどな」「今日は何時まで仕事するんだろう」など些細なことに対応することに、知らず知らず疲れているのだろうか。

息子は相変わらず家にいるというのに、そっちの存在は全く気にならない。

男二人が揃っていないことからくる安堵感かもしれない。

顔を合わせると息子は噛みつき、夫は戯れる。

仲良く盛り上がって笑い転げたりもするが、たいていは大声で息子が抗議し、夫は意地を張って応戦し、重っ苦しい揉め事に発展する。

火花が散り始めたその瞬間瞬間、私はできるだけ関わらないよう、できるだけ公平にと距離を置く。

二人の揉め事とは全く関係のない、当たり障りのないことを呟き、興味もないテレビ画面に見入ったフリをする。

どっちの味方にもならないように、揉め事に火を注がないように、ただただ、終息を待つ。

それでも夫が終日家を空けるのはこれまで、それが日常だったのに、すっかりテレワーク慣れしているようで、そこに居るはずの人、声が無いと、ソワソワする。

文鎮のない半紙。

ドンっとした押さえがない。

文鎮があれば、半紙は安心して風に揺れてフワフワ泳げるのに。

今日は調子が狂って、らしくなく、作り置きを山のように拵えた。

昔から非常事態には頑張るのだ。

夫の単身赴任中は毎日8000歩のウォーキングをし、昼寝などせず家事も読書も庭掃除もこなしていた。

子供の頃は、母が入院した時だけ急に成績がオールAになった。

重石がないと、緊張して、とりあえず、頑張っとこうと、思うようだ。

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インデックス貼りまくり。・・と言ってもレンジでチンすればできる品ばかり。最近、密かに師と慕う山本ゆりさんのレシピが私の教科書。