どうも調子がよろしくない。
頭痛と異様な倦怠感。体重増加。熱はないし、喉も痛くはないのでコロナではないと、確信している。体重の増えた感染例など聞いたこともない。
普段から半径1キロで生活しているのが、さらに出なくなり、行動範囲も運動量も減ったはずなのに、もう何週間も前から怠くて仕方がない。おかしいなあ。
うーむ。
困った事に、このご時世、いつものように「調子が悪いから横になるね」とは言いづらい。
自分では違うとわかっていても、ちょっとテンションが下がり、口数が減ると、周囲は、特に息子は「感染したのでは」とざわついてしまう。
「母さんの場合は命に関わるからな」
そう言われると、余計な騒ぎにしたくないと、じっと過ぎ去るのを待つ。それしかない。
それでも家族がみんな家にいる生活はいい。特に夫が出かけて行かないのは、落ち着く。
毎朝、朝ドラが終わると、コーヒカップを持ち、「じゃ、頑張ってくる」と二階に上がっていくのだが、つい、
「まだいいじゃーん」と言いたくなってしまう。もうちょっと一緒にだらっとしようよ。
ああ、そうか。この人は出勤するんだっけ。
「はい、頑張って」
妻は甘ったれた感情はこれっぽちも出さず、何事でもないかのようにクールに見送る。
居たところで特別会話が弾む夫婦でもないが、彼が家にいると、なんとなく、あるべきところにあるべきものがある、と言う安定した気分になる。
この突然降って沸いた家族が揃う時間。
来年からは大学を出て社会人になる息子と、夫と私がこの家の中で笑い合う時間はグッと減る。そう思うと今が愛おしい。
怠くて本を読む気にもなれず、YouTubeでさだまさしさんのコンサートを観ていたら二階から降りてきた息子がピタッと立ち止まり私を覗き込む。
「どした、なんかあったのか?」
「なんで?何もないよ、大丈夫だよ」
「一人でさだまさし観てるから。心が疲れているのかと」
「違う違う。好きなだけだよ。好きだから観てるだけだよ」
「韓流見てダラダラしてろ〜」
しんみり、さださんの曲に酔いしれているよりも、韓流ドラマを観ながらごろ寝をしている母親の方が安心するそうだ。
息子の母親像って・・・。
ドラマを観ながらぐうたらしている母親が、彼にとっての「あるべきところにあるべきものがある」姿、ということであるようだ。