作り置きの意味

ミネストローネを朝から作る。

これがあると、とりあえず野菜はとっていると安心する。

冬の豚汁、春秋のミネストローネ、夏のラタトゥイユ

昨日はやっぱり不調でつかいものにならなかったのでやはり朝からカレーを作った。

これがあると、とりあえず平日昼ごはんはカレーでよいと安心する。

 

安心するために台所に立つ。

すべては安心して、ゴロンと横になって心おきなく、韓流ドラマを堪能するためだ。作りながら身体はしんどいのに、決して辛くない。

これさえあれば、これさえあれば・・・ふっふっふ・・・。

森に住む魔女のように怪しく笑みを浮かべ、鍋を掻き回す。

先日拵えた作り置き惣菜はどうした。

だってぇえ。

もったいなんだもん。

まだしばらくはもつ。私の体力も、惣菜も。

とっておいて、いよいよ動けなくなったとき、トランプの婆のカードのように使うのだ。

後生大事にとっておいて腐らせないようにすることだけは気をつけたい。大事にとっておくのは私の悪い癖なのだ。

息子が幼稚園のとき、先生が家庭訪問で上がられたときようにと、ちょっとお高いトイレカバーを買った。

しかし、当日になって

「そんなとこで見栄はってもしょうがない」

と取り付けなかった。もったいなかったのである。なにもこんなときに使わなくとも、いざとういうときのためにとっておこう。

あれから何年だ。いまだにうちの洗面所の棚に未開封のまま眠っている。

セロリ、玉ねぎ、ピーマン、人参、キャベツ、トマト缶、ベーコンにコンソメと野菜ジュースを突っ込んでかき回していただけのスープが思いのほか、おいしくできた。

春キャベツの甘味、ピーマンの苦味、セロリの香り、ベーコンの旨味。

鍋にたっぷりある。3、4日は使えるだろう。

・・・もったいない。

もったいなくてとっておきたい・・・。

魔女はすでに、またしてもこのスープの本来の目的を見失っている。