三つのリズム

土曜日。夫は毎日家にいるので休日気分にならない。メリハリをつけるため、朝ごはんは納豆、昨夜のお味噌汁、卵、を

「今朝は各自でやってね」

と置いておき、自分はトーストとチーズにコーヒーにする。

昨夜あまりにしんどかったので、もしやと思い寝しなにドライフルーツにヨーグルト、ナッツを食べた。そのせいか今日はやや、やる気がある。やはり、エネルギー不足だったのだろうか。

そのやる気がしぼまないうちに、次にダウンしたときの備えの作り置きをする。

昼夜用意する感覚がまだ掴めない。

とりあえず何品か出来たものが冷蔵庫にあれば安心して韓流ドラマを観られるというものだ。

ハンバーグに生姜焼きにミートソース、キャベツの塩揉み、焼き豚、ナポリタンの素風野菜炒め。ついでに今夜のロールキャベツ。

本能の赴くままにレシピを見なくても作れる、簡単で手の込んでいないものをいくつか拵えた。

出来上がったタッパーをずらりとカウンターに並べ、うっとりとする。

もったいなくて使いたくない。

 

エンジンがせっかくかかったので二階の掃除機かけをする。夫が仕事をしていたので連日控えていた。

わざとらしく息子の部屋もかける。

まだ熟睡している横の窓を細く開け換気をしたが、眠り続けている。寝たふりということもありえる。

今起きてこられてもめんどくさいので、寝ていることにして部屋をでた。

その間夫は楽しそうにテレビを観ている。

それでよい。

私につられて「僕もなにかしなくちゃ」とワサワサされたらこっちの呼吸が狂う。

彼はメトロノームみたいだ。

一定のテンポを崩さない、自分を全面的に肯定してくれる誰かが家にいるだけで、私の精神も保たれる。

彼の役割は、いつでも同じリズムを刻むこと。

そのあと、寝室でゴロンとし、夫の観ていた番組を観ながら一緒に昼ごはんを食べ、庭の草むしりをしたが、途中で「体調が良くなったハイ」になっていることに気づいて、やめた。

調子にのってまた疲れてはいかん。夕方まで少し横になろう。

そこにようやく起きた息子が

「おはよう。なんか食べるものあるかね」

と降りてきた。

「ないよ。もう売り切れです」

「そうか、ないか」

もう。

さっき作った素にパスタを足して混ぜ、その上に卵をのっけてオムスパゲティにした。

ああ、ナポリタンの素、もうあと半分になっちゃった、もったいない。

モヤっとするその鬱憤を卵に書いた。f:id:okirakutonton:20200404151815j:image