夫が家で仕事をするようになってやや半月。未だにリズムがよく掴めない。
朝のんびりできることが唯一、嬉しい。
朝寝坊の息子抜きで二人で朝食をとるのは何年ぶりだろう。
相変わらず、特に話したいこともないので、互いに黙々と食べる。
朝のドラマを毎朝見せられるうちについつい引き込まれるようで、今では黙っていても夫の方から時間になるとそこに合わせるようになった。
「これ、森山直太郎の話?」
大人しく運動神経も悪い主人公が小学校の宿題の作曲で、軒並みならぬ才能を発揮・・・したみたい・・らしき匂いをさせて番組が終わったと同時に彼が聞いてきた。
「違うよ、長崎の鐘とか東京オリンピックマーチを作った人の話。なんで森山直太郎の話になるのよ」
「あ、そうなの?だってさっき、森山直太郎くん、上手だねって言ったから」
「お芝居が上手だねって言ったの!大体、時代がおかしいでしょう。」
「え?演技がうまいってこと?出てた?今」
「先生役で出てたでじゃないヨォ」
「え?え?あれ、森山直太郎だったの?」
・・・・。そうだよ。
なんで直太郎君が着物を着て蓄音器で音楽を聞いているんだ。
朝から熱くなってしまった。
これもまた新鮮。