結局あれからドラマも見ず眠り続けた。
浅い眠りを繰り返し、ずっと横になっているとだいぶ体も動くようになった。
視界もくっきりとし、家族との会話もクリアに反応できる。
谷底から這い上がって呼吸が楽になった気分だ。
夫に腹を立てて、あの時ひどいことを言わなくてよかった。
余裕がなくなると了見が狭く衝動的になりがちだ。
私はいつも、夫にも息子にも、見送る時、心の中で「生きて帰ってこい」と念じている。
どんなに喧嘩をして腹を立てていようが、玄関に立ち、それからもう一度庭に面した窓から手を降り、そうしている。
家族とはそういうものだ。
そして送り出した後は、腹をくくる。
煎餅にしろお酒にしろ、私が念じているのはずっとそばにいて欲しいということ。
父が今の夫の年齢あたりから病気になったため、恐れているのだ。
夫と父は違う。
夫は大丈夫だ。
楽しくなけりゃどんなに健康に気をつけたって意味がない。
楽しく生きなくちゃ意味がない。
笑うのにも体力がいる。
余裕を持とう。
楽しく和やかに。
笑うにも体力がいるのだ。