これで冷蔵庫にビールがあったなら

 

寝不足だ。

夜中に夫がブッとするあの大きなオナラは本当に不思議だ。あの勢いで放屁をすれば、その衝撃で自分自身も目が覚めるだろうと思う。あれだけのものを出すのには相当力を込めないとできないはずだ。それを寝ながらいとも簡単にやってのけるとは。

健康なのだな。

深い眠りから覚めもせずこれだけのことができるなんて。

そしてその大きな音を立てる鼻息も。

肺活量がしっかりしているのだ。呼吸をちゃんとしている証拠だ。そして大きなストレスが無いことも証明される。

健康な人だ。心も体も。私より後から寝室に入ってきて、おやすみといったらものの数秒で眠ってしまうなんて。

この図太いまでのデリカシーのなさ。

ありがたい。

いやいや、本気でそう思っている。

しかし、昨夜は鼻息とオナラが重なり、「ぶっ」で起こされたあと、息がうるさくて眠れなくなってしまった。恨めしいのも事実だ。

昼過ぎに起きてきた息子には、就活とコロナウィルスのストレスをもろぶつけられてしまった。

いつもなら笑って吸収するところ、ほとんど寝てない私はそれだけのエネルギーも余裕もなく、声に不快さを込め振り払ってしもうた。

それもこれも夫の屁のせいだと、また恨む。

今日はこんな日かぁ。そんな日もあるよなと、例によってゴロゴロベッドに寝っ転がりながら先日姉の部屋から借りてきた漫画を読む。

面白くて次のに進もうとしたら一巻の次がなくて三巻しかない。そういや、「どっかいっちゃった」と言ってたっけ。

まあいいや、それ程のめり込んでいるわけでもなし、と三巻に手を伸ばし読み始めた。

が、数ページ読み、パタリを閉じた。

登場人物に知らない人がいる。

そういえばこれ、あの時の。。と主人公が呟くそれがわからない。

いったい二巻の中で何があったのだ。

知りたい。知った上でこれを読みたい。しかしそれだけのためにわざわざ二巻だけ買うのはいかがなものか。

無駄遣いだよなあ。

そうだ電子漫画もレンタルってあったよな。

探してみると、この漫画はなんでも女性編集者が決めるこの漫画はすごいというので一位になっているからか、レンタル料は電子版を買うのと一緒の金額だった。

うーむ。うーむ。

許されるか。許されまじか。これ絶対今日、なんとなく面白くないから買っちゃおうとしてるやつだよなあ。やけ買いだよなあ。

ドトールでお昼にジャーマンドッグにチーズケーキも食べたと思えば・・。

そこまで考えておかしくなった。

なんか面白くないからと服を買うわけでもなし。

パーっと映画を観に行くわけでもなし。

毎月お小遣いをもらってるわけでもなし。

ええやろ、それくらいは。許してやったれ。

ポチ。

またしても心のイケメン夫出動。彼は夜中にオナラなんかしない優しくてスマートな心の機微を察知してくれる私の紳士。

電子書籍は買うとすぐその場で手に入る。

この安易さが後ろめたさを倍増する。

「ええんよ。欲しいものは買ってええんやで」

妄想夫の声に心、落ち着かせている間に、あっという間にダウンロード完了。

よーし。

即、夕飯の支度をする。今日は夫がいないから冷凍しておいた牛肉と野菜を焼肉のタレで絡めたものを炒めるだけ。

トマトにブロッコリ。目玉焼き。ご飯を炊いて。

そして、お風呂を沸かす。

ふっふっふ。

湯船でこの前買ったキンドルで読むのだ。

フッフッフッフッフ。

こんなに幸せでいいんだろうか。

単純なものである。

朝からの寝不足の気怠さも、八つ当たりされてモヤっていた気持ちも一気に晴れている。

ブログもなぁ、今日書くことないなぁなんてグズついていたほんの数分前とは雲泥の違いだ。

もう、電子漫画買っちゃったぁを、皆さんに聞いてほしくてたまらない。

 

「お風呂が湧きました」とリンナイちゃんが呼んでいる。

ではでは。