お腹に届け

ホットケーキミックスにバターと卵、砂糖を混ぜて、皮が黒くなったバナナを混ぜる。

そこにシリアル。

420グラムの大袋を思い切って買ってきたのに不評であった。

普段、シリアルは常備していない。割高なので食欲が落ちたとき、朝ごはんを急ぐとわかっているとき、ちょっと特別な感じで買う。

今回は息子のヨーグルトに入れるために買った。シリアルは好きだから「ふふふ、特別だぞ」と半病人の不安定な食欲と腸の状態に適宜合わせて使おうと思ったのだった。

しかし、こんなコロコロしたもので栄養は足りんのかいな。

各メーカーの袋の裏をじっくり見比べる。

繊維に力を入れているもの、鉄分、玄米、食べやすいようチョコレートスナック風のもの。

その中に低脂肪乳200グラムをかければタンパク質20グラムになると謳っているものを見つけた。

新商品らしい。たんぱく質!!と袋に大きく書いてある。

ふうむ。これは味的には好みであろうか。なんにせよ保守派の息子、あんまり癖があるとダメなんだよなあ。

じっと見つめている私の背後からスッと手を伸ばし、青年が一つ持っていった。

迷わず持っていったところを見ると、リピーターか。

見ると別に筋肉質で体を鍛えているという感じでもない。

あの青年には嵌ったのだな。

よし。

大きな徳用の大袋をカゴに入れたのであった。

 

「これ、食べないとダメなわけ?」

不評であった。

どうしてくれよう。420グラム。正確にいうと一回分の60グラムを除いて残り360グラム。

夫は朝は納豆派なので私が食べるしかないか。

 

ホットケーキにバターと砂糖、卵にバナナ、そこにシリアル。

シリアルの合間を生地が埋めるくらいの量をごっそり入れた。

ついでにバレンタインに出し損ねたチョコも刻んで入れる。

買っておいたものの、母と姉から上等なものをたくさんもらったので引っ込めた。

たんぱく質シリアルにチョコレート。

ルートを変えてお腹に送る。届ばいいのじゃ。

カップにつめて180度30分。こんがり凸凹甘い匂いが全てを丸く収めてくれる。

お盆に黙って乗せて置いたら食べていた。

それ、母からの遅いバレンタインです。

とは言わずニンマリ。