午前中、松飾りを夫と二人で取り付けた。
門を水拭きをし、門の屋根に乗っかっている枯れ葉を脚立に乗って取り去り、二人でバランスを見ながら左右の松を紐で縛り付ける。
本当はそれから溝の泥さらいもするつもりだったが、見るとそんなに溜まってもいない。
「もういいね、これでね」
冷たい風に寒い寒いと中に入る。
長く父親と仲違いをしている夫がこのまま年越しをするのがどうしても良くない気がして、禁止されていた義父への電話をあえて、決行した。夫いる目の前で。
「あなたは出かけているって言うから電話に出てこなくていいから、かけるからね。内緒でもいいんだけど、そういうの余計ややこしくなるから、今するよ」
かけると外出中だった。
それから夫の義父に対する不満とやるせなさと怒りを掘り下げて聞いた。
喧嘩勃発からずいぶんと時間が経っていたからか、いつになく、素直に、細かく、子供のように話す。
ただ、ただ、聞いた。
ふぅん、ふぅん、そうなんだ。
ただ、ただ、聞いた。
向き合って真剣にではなく、合間合間にテレビ番組にツッコミを入れながら
「それで?」
と聞き続けた。
話の勢いが途切れたのが12時半だった。
昨日の鍋の残りで甘辛いつゆのうどんを作る。
麺が1玉しかなかったので、私はハムサンドとママレードのトースト。
食後にあんころ餅をコーヒーと食べていた頃、
「やっぱ電話してみようかな」
照れ笑いの夫が言った。
「してみれば?」
全く無関心かのように答えた。
そそくさと携帯を持ち二階に消えていく。
私は夫のこの可愛らしさが好きだ。
へそ曲がりでいじっぱりで頑固だけれども。