ブリジット・ジョーンズの日記を観た。
だいぶ前の映画だ。続編も出ているから今日観た一番最初は調べたら2001年9月日本公開だった。
確かあの頃もDVDになってすぐ借りてきた覚えがあるが、まったく興味が持てなかった。
むしろ主人公のブリジットの奔放さもユーモアもコケティッシュさもすべて「だらしない」と映った。
女ったらしの上司が魅力的だけど、どうしてこんなダメな男とさっさと縁を切らないんだとイラっとした。
実直で不器用な弁護士の男の方がいいのに煮えきらないブリジットにまったく共感できなかったのだ。
あの頃の私は息子が2歳、父の余命が残りわずかとわかっていて母は情緒不安定、夫は夫で当時日本で開催されるサッカーワールドカップ予選観戦に毎週末どこかに行って留守、いっぱいいっぱいだった。
弱音を吐くこともできない。
息子の手前悲しい顔はできない。いつも陽気に。
部屋をちらかしちゃいけない。家具の置く位置も風水を気にした。
毎日玄関を拭き、床をみがき、食事は無添加、子供のおやつも厳選した。
今日の自分は正しかっただろうか。
いつもそんなことを考えていた。
ちょっとでも楽な方に流れたら神様が父をあっという間に連れて行ってしまう、そんな気がしていた。
いつ神様に覗かれてもだいじょうぶなように。
そうやってピーンと。
「母さんっていつからそんなオッチョコになったんだ」
21になった息子がときどきそう言う。
「昔はうちの母ちゃんは、しっかりしてると思っていたんだが」
「今のは演出だ。あんまり母が有能だと安らげないだろう」
あ、はいはい。と取り合わない。
昔のキリキリマイの私が演技だったのかもしれない。
できもしないのに有能であろうと自分を装っていたのか。
18年ぶりのブリジットは実にかわいらしい。
失恋したらお酒を飲み、好きになったらどこまでも恋にひたり、黙っていればいいところをそうできず、けじめをつければいいところも緩い。
男性と家族と自分に思いっきり振りまわされ、全然スマートじゃないのになぜか惹かれる。
プリップリの胸とお尻もすべてが愛らしいのだ。
あぁ、こんなガリガリの身体を放り出し、わたしもこんなチャーミングな女の子で思いっきり生きてみたい。
いま、50、来年の春は51。
これからでもこんなふうになれるかなあ。
そんな小さな憧れを抱いた。