姉と

昨日の午後、姉に誘われ三軒茶屋まで夕飯の買い物がてら出掛けた。

「お母さん、何時に帰ってくるかわかんないのよね」

母は風邪が治ったと思ったら忘年会、映画、バーゲンと毎日忙しい。別に何も言ってないのにわざわざ「もうしょうがないのよ」と、あくまでも付き合いで嫌々行くんだと説明しに来るところが可愛い。

無印良品を冷やかし、喫茶店でお茶をする。姉は朝昼一緒の遅い食事だったとホットサンドを頼んだ。

「ボーナスが出たから奢ってあげるよ」

「いいよ、うちもちょびっと出たから」

 「そう?じゃ割り勘で」

そういってメニューを見ると、コーヒーが一杯960円もする。ケーキも頼もうかと思っていたのをこっそり諦めた。こんなお高いお店で奢らせなくてよかった。姉の財布はすっからかんになる。

本に旅行に美術館においしい食事にお酒。好奇心と行動力旺盛な姉は休日には、仕事の鬱憤を晴らすため、必ずどこかしら出掛けていく。「家にずっといると腐る」のだそうだ。半径500メートルのスーパーの行き来だけで満足している私とは子供の頃から全てにおいて対照的なのだ。

そんな高級とりでもないんだ、お金は自分のためにお使いよと、つい親でもないのにそんな気持ちになる。

店内で互いのインスタグラムを見せ合い、フォローしているTwitterを教え合う。

キラキラ飾りのついた10本の指でパソコンを打つ、化粧っ気のないジーンズ姿の若いムチムチした女性を「かっこいいね」と言うと「ここ、3時間まで電源500円の有料制にしたんだ」と姉がテーブルに置いてあるメモを見て呟く。

「でもさ、500円払ったら3時間は堂々とここに居ていいってことでしょ。有料オフィスだと思えば雰囲気もいいし、いいよね、ここ」

何にも仕事がないのに、いつか私もここでパソコン広げてみようかなあ、ここでブログ書いちゃったら、私もそれらしく見えるかなあなどと妄想する。

 

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店に入るといきなり中央の大きなテーブルにツリーがでんっと乗っかってお出迎え。「写真、撮ってもいいですか」とスマホのシャッターを押す私を恥ずかしいと他人の振りする姉。

 

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しかし、そう言いながら座ったまま「これ可愛い」とこっそりピンポイントで撮影していたのを妹は見逃さない。・・が・・・あえて突っ込まじ。

 TSUTAYAにも寄っていい?

ちょっとガルディ覗いてかない?

あ、ちょっと、ちょっとだけ、本屋寄っていい?

「いいよぉ」

全部付き合って帰宅したのは6時だった。

それから午前中のうちに衣をつけておいたコロッケを猛然と揚げる。

よし、一休み、と思っていたところに息子がご帰還。

エンジンフル稼働の1日だった。

それをこなせた自分がちょっと嬉しい。

 

今日はなあんにもする気がしない。

姉は朝から仕事に出掛けて行った。

母も吹矢教室に出かけている。

私は家に篭り、冷蔵庫の中にあるものなんでも入れて、魔女のように怪しいスープをかき混ぜる。

おでんのウィンナー、おでんのロールキャベツ、ベーコン、しめじ、大根、じゃがいも、白菜、カボチャ、キャベツ、そしてトマトの水煮と水とコンソメとちょびっとの塩と砂糖。

ぐーるぐーるかき混ぜる。

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とにかく冷蔵庫にあったものをぶっ込んでトマト水煮で強引にまとめたスープ。