夫と車で近所の神社と少し離れたところにある、テレビで特集を組んでいた激安スーパーに行った。
スーパーは一度一人で歯医者の帰りに覗いた事があった。確かに安い。元々は精肉店だったそうで、やはり肉が圧倒的に安い。近所のところよりグラム30円くらいは違う。野菜も安い。興奮してあれもこれもと思うがそこからバスに乗って持ち帰るには無理だと諦めた。
今日は車なので、思うままカゴに入れる。カボチャ、トマト、ブロッコリー、しめじ、人参。本当は路地物のイチゴやグリーンピース、蕗のとう、筍と目がいってあれもこれもとなりそうだったがきっとそんなに作りきれない。二人なのだ。
それでもひき肉も特大500グラム、豚こまも470グラム、買う。また作り置きのストックを拵えよう。
この店おすすめとあった国産牛のプルゴキの味付け肉にも手が伸びる。グラム200円でカゴに入れていた外国産の牛バラ肉を戻す。肉じゃがや牛丼の素を作ろうと思ったが国産の方がいい気がする。ピーマンかなんかと一緒に炒めて冷凍してみよう。
「あのさ、今日、僕、夜いらないんだよ」
勢いよく買う妻に今夜、飲み会に出る夫は慌てて言う。
「わかってるよ」
これは君のじゃない。主に息子のなのだよ。心の声でつぶやいた。
それから神社に寄って二人、手を合わせ、少しだけ緑道の葉桜の下を歩いた。
たった1時間半のお出かけ。
「楽しかったね」
夫が言った。
「うん」
私も言った。
お茶もしない、ただの買い物。会話も少ないこの二人。
近所のスーパーにたまに一緒に行く。
いいもんだな。こういうの。少し、ご機嫌。