ジメジメした空気になってくると頭の中も締め切った押入れのようになってくる。
脳みそが湿気を含んだ布団のようにじっとり重い。
そうなると右脳なのか左脳なのか前頭葉なのかそれとも、もっと奥の原始の脳なのか、どこかが膨れてくる。
いつも深追いしないことがムクムク膨らんで私を圧迫してくる。
自分だけが深い海の底にいるようで、自分だけが何をやってもダメで、自分だけが醜く、自分だけが魅力のない生き物のように感じる。
きっと本当はそんなことはないのだ。
出っ張っているところ、引っ込んでいるところ、あの人にあって私にないもの、私にはあって他の人にはないもの、そんなものがバランスよく散りばめられているのだ。
私の視点と思考がどんよりと鈍い動きなってきただけで、全体は何も変わっていない。
相変わらず私は平和でぬくぬくとした家の中で暮らしている。
食べるものもあって、足で歩ける。
平和ボケだ。
それでも拭い去れないこの気持ちはきっと幻想なんだど思う。
同じ映画を観ても同じ本を読んでも感じ方が違うように。
同じ世界にいるのに感じ方が違う時がある。
そんな時はじっとして、派手なアクションをしないこと。
吹っ切ろうとして闇雲に動いたり、何か意味のあることしようとしたり、自分を励ます何かを探したりしないこと。
じっとじっとひたすらやり過ごす。
やがて必ず、雨がやんで、雲が動いて、太陽の光が届く。乾いた風が吹く。
そうすると、パッと気分が晴れて、ああなんだかわからないけど、やっぱりいいなあと思えてくる。
そういう波を繰り返し繰り返し、年月を重ねるのだ。
だからこの憂鬱な気持ちもそんなにフォーカスすること、ないのだよ。