ゴールデンウィークが早く終わってほしいと思う。
なんとなく日常が崩れる感じが不安定で、ちょっとめんどくさい。
「母さん、連休はどこにも行かないのか」
息子がこのところ、日に一度は聞いてくる。ほぼ1日家にいる私を気の毒に思うようだ。
私としてはやることもないから暇つぶしに芝刈りをしたり、庭の排水溝の掃除をしたり、思いつきで作り置きを大量に拵えたりとこれでも地味に疲労と楽しみとの間でバランスを取っているつもりなのだが、そうは見えないのだろう。
まだリバビリ中なのだ。
実のところ等々力、二子玉川、三軒茶屋、自由が丘、の間を買い物と歯医者と散歩でバス移動するだけでもう大冒険なのだ。
飲んでいる薬の影響でトイレが近いので映画も途中退場することが何度かあった。つい、足が遠のく。
オムツをして観るのは決して自尊心なんか傷つかないが、そこまでの情熱がない。
ま、いいや。家で。となる。
2畳の納戸に引きこもっていた私からすれば毎朝のラジオ体操を続けているだけでも奇跡的な進歩だし、何より食事が喉を通るようになってきたことも明るい方向に向かっている。
芝刈りをするなんて!ドラマを寝転んで観るほどくつろいでいるなんて!歩いて隣町の本屋に行くなんて!朝、顔見知りができて会話をしてるなんて!数年前の私だったらどれもあり得なかった。不安と焦燥感とで常に落ち着かずピリピリおどおどしていた。
みんなあの頃の私を忘れたのだろうか。
それとももうすっかり元気に見えるから、もっともっと溌剌と楽しんでいる様子を見たいのかもしれない。
夫が毎週末の土日、車で出て行くのを母も姉も息子も気に入らない。
娘を、妹を、母さんを放ったらかして一人だけ遊んできやがって。
そして私を不憫に思う。
憐れむな。
そして急かすな。
私がドヨンとして見えるのは太陽にあたって庭仕事をして疲れたから。
天気が不安定で低気圧にやられているから。
昨夜、寝そびれたから。
それからみんなが気の毒がるから、なんだか本当に自分が可哀想な人のような気がしてくるから。
心配するな。私は毎日、それなりに地味に楽しんでいる。
地味にいい方に向かっているのだ。これでも。
あともうちょっと。もう少し吹っ切りたい。
もう少しのところまで来ている気がする。
気持ちがもっと解放されたらきっともっとエネルギーも湧いてくるだろう。
そうしたら動き出すと思う。
私は大丈夫。行きつ戻りつ、いい方向に向かっているのを感じる。