姫〜っ!

昨日、足を切って快適にした机を移動させた。

もとあった窓際の配置は、天気のいい日は抜群の陽当たりで、あらかた家事の落ち着いた午後3時ごろ、ここでまったり本を読んだり動画を観たり、お盆ごと運んできて遅い昼ご飯を食べるのがお気に入りだった。

しかし、陽が落ちるのがはやくなってきた。4時にもなると窓からの寒気でここは急に冷え込む。

それでも自分の机周りから離れたくなくて、足をモジモジさせ、ブランケットを羽織り粘る。

日向を取るか、暖房を取るか。

暖房。

冬本番を迎えるにあたり基地の大移動を行ったのだった。

一つを動かすと部屋のバランスが変わる。本棚、カーペットの位置、テレビ、テーブル。

全体の微調整と、ついでに台所の整理棚の移動、2階の鏡台の移動、妙なスイッチが入ってしまい一日中動いていた。

その流れでコンビニで払い込みをし、グラタンと、里芋のコロッケ、味噌汁を作り、やれやれと、遅い遅い昼ご飯を食べていた。時刻は午後四時になっていた。

コンコン、コンコン。

窓が。嫌な予感。いっそ気づかないふりをしたい。

コンコンコンコンコンッ!

振り向くと母なのであった。またしても手にはフッサフッサと緑がはみ出た袋を下げ、窓にピタリと張り付いている。今度はなんじゃ。

「あなたこれ半分に切ってよ」

黄色いカリフラワー。う。カリフラワー。よりによっての偶然だが、何故かまた奴らが好まぬものを。

せっかくやれやれと座ったところにこれからまたまな板出せっというのか。

「それからこれ」

花束のようなセロリ。むむ。フッサフッサの正体はこれであった。

スープかミネストローネかマリネかきんぴらか。

「すんごく安かったのよ。でもお姉さんカリフラワー嫌いなのよ。セロリもこんなにあっても困るから。お姉さんもそう毎日は食べたがらないし」

姫は嬉しそう。すんごく安くて新鮮な野菜を仕入れて得意そう。

抵抗すまい。やっと里芋をクリアしたと思ったら次の課題を渡された。

こういうのは勢いが必要だ。そのまま片づけたばかりの台所でカリフラワーを切って半分を母に、貰った方は小房に分けてレンジで加熱した。

レンジってお利口さん。ありがとう電子レンジ!

コロッケの横に乗せる。

きっと見かけても私は買わないカリフラワー。めんどくさがったが、母のおかげでそっけない皿がちょっとお洒落になった。

海外ドラマを中断し、新基地で料理サイトで検索する。

セロリ、大量、セロリ苦手でも大丈夫 子供も喜ぶ。

そう。我が家のお子ちゃま舌の男達はセロリも、苦手なのであった。