検討課題

暑い中、歩くことを避けたい。しかし、歩かねば。もとより弱い筋力がさらに弱くなる。

そうなったら本当に歩けなくなってしまう。

夏中家に篭るわけにはいかない。なんとかして少しづづでも継続して歩かねば。

そこで早朝歩くことをやってみた。

南向きの寝室は4時半にはもうカーテン越しに日差しが入り、どうしても目が覚める。

はじめのうちはラジオを聴きながらうつらうつらしていたが、今日は暑くなるから、これからどんどん暑くなるから、危険だ、日中は35度を越えるからなるべく家にいてくださいとか、繰り返しのアナウンスされるうち、煽られる。

今、涼しいうちに散歩してこよう。

それが、1日目。月曜の朝だった。

家の前の緑道をまっすく進み、もどってくる。歩数は3000歩弱。推奨されている歩数にはとうてい及ばないが私には充分だ。普段のスーパー往復よりは歩いたことになる。

これはいい。

2日目。いそいそ起き上がる。昨日インターネットで見つけた24時間営業のスーパーマーケットに行ってよう。

隣町とのちょうど中間地点にある。

おお。やっている。本当に普通に品揃えもある。バリバリ営業中だ。

朝の6時前、店員がワゴンから並べている生鮮食品を手に取る。

胸肉と豚こま肉。チーズ。

箱入りトマトが298円。安い。広告の品!!とポップが添えられているところを見ると、この後からチラシを見た人々が、これを求めにやってくるのだ。幕が上がるその前に一番乗りでここにいる優越感。

買って帰りたい。しかし、ここから担いで持って帰るには重い。ああもったいない。ショッピングカートがあれば。

同世代と見られる女性が、カゴいっぱいに牛乳を何パックも、それにパン、野菜、大袋の煎餅を入れていた。

できる。この人は。この穴場を使いこなしている。

惣菜売り場もチェックせねば。

昨日からの売れ残りなのかわからないがスカスカではなく、びっしりだ。できたての焼き魚が並び始める。

この近くに住む人、いいなあ。

散歩のついでにちょっと探検のはずが、想像以上に使えることに興奮する。

この夏、早朝買い出しっていうのも有りかもしれん。

帰宅。3859歩。おお。なかなか。

しかし、ここがへなちょこ体力の悲しいところ。気持ちは昂ぶり冒険心も好奇心も湧いているのに朝歩いて帰ると疲れ果て、その日1日、使いものにならなくなる。

この二日間、朝食をすませるとなんにもやる気にならず、ほぼ1日床に転がっていた。窓の外では植木屋のおじさんが炎天下、汗びっしょりになって働いているというのに。

3日目。昨日。それでも諦めない。

スーパーには行かないが、やはり緑道往復に出かける。

たった2日、朝歩いただけだというのに行かないと、なんだか自分に負けたような、サボったような気分になる。

犬を散歩させている人と何組もすれ違う。わたしのやっていることもこれだな。

日中は暑くて危険だから時間をずらして散歩させているのだ。

1日目と同じ距離なのに、帰宅したら頭がぼーっとしていた。

この日は更に思考力もなくなり、床に転がっては家事をし、また寝っ転がりで1日を終えた。

そして今日。

やはり早朝はいかん。

今度は10時きっかりの開店を待ち、いつものスーパーに向かう。

誰もが似たようなことを考えるようで、朝一番だというのに既に賑わっている。

朝採れレタス、本日限りの鮮魚。鶏肉。パン。

帽子を被って行ったのに帰宅して買ってきたものを冷蔵庫にしまっているとやはり、頭がくらくらしてきた。

膝の裏が熱い。うーむ。

どうしたものか。今年の夏の買い物事情と歩行事情。

買い出しはネットスーパーに割り切るか。

でもなあ。

私はあの、早朝スーパーの充実具合を諦めきれない。

連日やるからだめなのだ。

3日に一回。それなら大丈夫じゃないだろうか。

試行錯誤するその横で、80の母は昨日は10時に家を出て夕方まで友達と二子玉川で遊んできた。今朝も8時半に体操教室へと出掛けていった。

彼女も連日、この暑さで出歩いて、へばっちゃないかと様子を見に行くと、扉の向こうから電話をしながら笑う声がする。

元気だ。

負けている。