2022年2月22日の朝

おっかしいなあ、晴れてるのに頭痛も怠さも眠気もかわらない。

どっちかというと昨日より今日の方がだるい。

毎朝、体調どうだ?と息子に聞かれる。こう何日も続くと悪くて今日も不調とはいいづらい。

「うん、そこそこいけそうです、おかげさまで」

ピンクの大きなタオル地のガウンを肩から被って座椅子にもたれてテレビを観ていたら

「よしよし、まったりしとるやんけ」

あくせく働くのを嫌がる彼が満足そうにこっちを見た。

 

銀行の女の子が集金に来た。

息子から毎月生活費と称し徴収している3万円を積み立てている。

本人はそんなこと知らないので「今月もらってないよ」と請求すると「あ、悪い」と言いながら必ず「そんなに金が欲しいのか」と笑う。そして手渡す時「ほいよ、これで楽しめ」とよこす。どうも私に小遣いをやっているような気分でいるようだ。

今年の目標は家をでることだそうだ。

コロナが落ち着いたらいいところを探して独立するという。

「早くからあちこち不動産のサイトをかけもちして浅く広くみておくといいらしいよ。職場から半径何キロとかあるらしいじゃん」

「なんかやけに協力的だな。ふつうまだ早いとか言うんじゃないのか」

ぬるい風呂と一緒でつかっているうちに出るのがだんだんおっくうになる。出た方がいい。

「そしたらあの部屋私の個室にするんだぁ」

「おい、そしたら俺の帰ってくる場所がなくなるじゃないか」

本当に今年中に出る気があるのか。

「そうは言うけど最近、月3万で都内で光熱費食費込みで暮らせるのは恵まれてるとわかってきたぞ」

そこに気がつき始めたら危険だ。

 

何のために生きているんだろう。

幸せ自慢で言うんじゃない。

私がこの世に生まれてきたのは夫に出会うためだった気がする。

好きで好きで大好きで結婚したわけじゃない。でも出会った時に「あぁ、、この人かあ・・」と夢に描いていた相手とのギャップにがっかりしたのを覚えてる。

でも、この人だ。すぐわかった。

ああしてくれないこうしてくれない、わかってくれないと辛い時期もあったが、この数年、私はこの人を幸せにするためこの世にやってきたんじゃなかったけ・・と感じることがある。

息子に出会うため。そこも含め夫に出会った。

そして二人から愛をうけとり生きている。

それを決めて生まれてきたのかもしれない。

 

「だらだらしろ。じゃあな」

出勤の支度の整った息子がドアから顔をだす。

「おい、また食べたお皿そのまんまじゃない、このごろ当然のように置いてく」

「おかしいなあ。洗いたいのにどうしても時間がなくなる。」

ウールのグレンチェックのマフラーをぐるぐる巻いて出ていった。