朝の散歩。街灯に銀杏が綺麗に浮かび上がっていた。
足元がらギンナンの実の匂いがする。落ちたのが踏まれてアスファルトに擦り付けられた。
これを嫌だというのをよく聞くけれど、私は好き。
外で、一瞬通り過ぎるからいいのだ。
きっと家の中でずっと毎日、いつもこの香りが充満していたらうんざりするんだろう。
なのに、気になる。なのに、惹きつけられる。
それって好きってこと?
癖が強いものって、そういうとこがある。
人も強烈に癖のある人は、面白くて魅力的なんだけど、密接した関係になると疲れるのかもしれないなあ。
そして誰もがどこかしら、強烈な癖は持っていて、ある一定の距離を超えて近くなるとそれは香ってくる。
相性が良ければそれを好ましく感じて、惹きつけらて、そうでないとそれが嫌だと離れるのかな。
ニンニクの匂いが好きな人、嫌いな人。
ニンニクや銀杏の匂いが好きなのに百合の香りが苦手な私。
人間もつるんと何も感じない人より、ちょっと味のある人が好き。
つるんというのもその人の味なのだから、つるんが好きな人はつるんじゃないとダメなんだ。
私は濃い目の味の人が好き。
自分自身はどんな味を出しているのか、こんなに近いのにわからない。
「なかなかのものですよ」
夫は笑う。
みんな、そういうものなのかな。
そんなかんじで、生きているのかな。