背負っていたものを少しづつ

土曜の朝、普段7時半には起きる夫が今日は疲れているのかまだ起きる気配がない。

息子は相変わらずこの時刻はまだまだ夢の中だ。

ここでベッドを抜け出すのがもったいない気がする。みんなが寝ているんだ、私ものんびりヌクヌクできるではないか。

いやまてよ。一人きりの朝食をゆったり自分のペースで食べる絶交のチャンスではないか。

それこそ今日を逃したらもったいない。

そうっと寝室を出て、そうっとシャッターを開ける。

夫を寝かしておきたい妻の優しさではない。

夫を寝かしておきたい妻は1分でもこの時間が長引くよう、細心の注意を払う。

それでも習慣からまずは二人の朝ごはんの用意だけはする。

息子はコーンフレークに昨日のキーマカレーを乗せたチーズトーストにヨーグルトにプルーン三つとオリゴ糖をいれたの。

盲腸になってから便秘を恐れ、毎朝ヨーグルトにオリゴ糖、プルーンを欠かさず食べるようになった。

シリアルが良いかとグラノラをせっせせっせと出していたら

「おれ、実はあんまりグラノラ好きじゃない。コーンフレークが好きだ」

と言い出した。

「あれでしょ、お砂糖のかかったフロートの」

「フロスティ」

「それそれ、ま、オヌシもまだまだお子ちゃまってことよのう」

「お子ちゃまと言うな」

という訳で今我が家には大量のコーンフレークがある。店頭には昔私が子供の頃食べていた、箱の通常サイズのものはなく、やたらどでかいお得用しかなかったのだ。

なのでこのところ、そしてこれから当分先も彼の朝食はこれを責任もって食べていただく。

夫は納豆に昨夜の鳥手羽元と白菜のスープ、鮭の焼いたのの残ったの。

そして二人共通にハムエッグとミニトマト

いつもと同じ手間なのに、一人眈々と立つ台所仕事は苦にならない。

そして最後に自分ように、玄米チーズトーストと苺、ヨーグルト、トマトをお盆にセットしテーブルについた。

パジャマのまま。むふふ。

誰に気兼ねもせずのんびり朝ドラを見ながら食べる朝ごはん。

食後にクッキーを摘みながらコーヒーを飲み、録画していたドラマを2本続けてみる。

二人はまだまだ起きてこない。洗濯物を干し、散歩に出かけた。

 

しばらくすると携帯が鳴る。息子からだった。

「今起きてシャワー浴びたんだけど、布団カバーを洗うにはいつもとおなじでよいのか」

あらま。外に出てみるとこんな展開もあるのか。歩きながら洗剤の量や入れる順番、干し方を説明する。

「ついでに自分の下着と服も洗って干しておいて。枕カバーも洗うと夜寝るときいい匂いがして気持ち良いのでお勧めいたします」

「なるほど、わかった」

これで帰宅するとうちのベランダに息子が自分で洗った物が干されているのか。

素晴らしすぎる。

 

家族が食事をするときに必ずそばにいてやらなくてはならぬということもないのだな。

考えてみれば大人3人。週末の朝くらい思い思いのスタートを切ってもいいのかもしれない。

これで調子にのって昼も戻らず勝手にやってはまだ無理だ。

だがそれも近い将来、自然とそうなっていくのだろう。

ふらりと母さんが朝の散歩に出て、俺たちはそれぞれ自分で食事を用意して食べるのが当たり前になるのも夢ではないかもしれない。

少なくとも息子がコーンフレークに、夫が納豆に飽きることの無いうちは充分可能性がある。

お徳用を買わざる得なかったのは神のお告げかもしれないなあ。

春の暖かい午前中、久しぶりに本屋に寄った。