作りおったな

息子の使っていた部屋を自分の個室にしようと企んでいたが、いざ彼が出て行ってみると、いつ泊まりに来るかわからないしと手をつけないまま、半年が過ぎた。

先週、本の後始末に一泊しに来たが、最近ではふらりと食べに寄り、数時間で返る。

そろそろいいかな。

積まれていた段ボール箱に入った本の山がなくなると、いよいよガランとした。

机の上に資料と文房具が少し残っているが、あの量なら私の小さなに収まる。

土曜の午前中、思い立って実行した。

まずは自分の部屋から無印良品のパイン材折りたたみデスクを持ち込む。

そこに息子の机の上に乗っていた書類を移動させる。

細かい備品は箱に入れて机の下に置いた。

それらをビニールシートで覆い、その上に気にいっている柄のテーブルクロスを広げ目隠しをした。

何もなくなったデスクは広い。幅140奥行き60、夢にまで見た大きな机。

パソコンを広げて、その脇にノートを広げてもまだまだ余裕がある。

ベッドはシーツと枕カバーを洗い、付け直し、その上から自分のキルティングのベッドカバーをかぶせた。息子が泊まるとなったら、カバーを外せば、即、彼のものに戻る。

息子のシーツをかけたマットレス、布団、枕の上に自分のカバーが広がり、さらに自分のベッドからクッションも持ってくればもうそこは、パッと見、私の部屋となった。

嬉しい。

このワクワク感は久しぶりだ。

机をもらっても構わないと取り付けてはいたが、一応、息子に写真を送る。

「基地、完成。机の上にあったものはそのまま移動させて捨ててないからね。ベッドもそのままにしてあります。いつでも泊まりに来てください」

居場所をなくしてしまったわけじゃないとわかってくれるかと返信を待つ。

「基地、作りおったな(笑)」

戻ってきた文面にますます嬉しくなった。

ここは、ずっと欲しかった私だけの場所。