心の中

長芋を送ってくださった人から今度はりんごが届いた。

今度は短く、重ね重ね恐縮していることと、たくさんあるからアップルパイを焼くとお礼を書いた。

ちょうどそこにいた息子の前で読んで聞かせる。

「おかしくない?」

「よかろう」

「ついでに今日書いたのも」

初めて自分の書いたブログ記事を読んだ。なんとなく伝えたかったのだ。今を幸せと思っていることを。

声を出して読みながら息子に自分の新婚時代を語ったことがなかったと気がつく。

普段、さっぱりしている私たちにも二人並んでテレビの前に座ったり、手巻き寿司で誕生日のお祝いをしたりした時期があったことを白状することになった。

自分が登場しテーブルの前で寝ていて、寝ぼけて降りてきた夫が私に追い払われたところになると笑った。

全部読み終わっての感想は

「なかなかええやん」

書かれて嫌がるかと反応をみたが、気にしていないようだった。

洗面所に行き、戻ってきた。

「あのさ」

もう俺のことは書くなと釘を刺しておこうというのか。

「サラッと聞き流したけど、俺がテーブルで寝てたのが幸せなの」

そこなんだ。

「そうだよ。片や晩御飯食べながら寝てるのを起こし、片や寝ぼけて降りてきたのを寝かし、やれやれと思っている今が満ち足りてるなあって感じたんだよ」

なんだか小学生の国語の読解の解説みたいになってきた。

「幸せなんだ」

息子には私が我慢ばかりしている母に映っているようだった。

もっとどこかにいけ、金を使え、今を楽しめ、親父は母さんに何もしない。

そう言うけれど、なんとなくわかっていると思っていたから逆にこっちが意外だった。

伝えてよかった。

そう思っているんだよ、母さんは。結構満足してるんだぜ。