始まる

息子は課長と話してよかったそうだ。

仕事の進め方も彼のやり方のままでよいと言われ晴れやかな、穏やかな表情で帰ってきた。

久しぶりに浴室から鼻歌が聞こえる。

鼻歌が嬉しい。

 

母さんも明日、緊張するな。がんばれ。無理はするな。

そう。今日は私の番。

初めての先生とのメンタルケア。

それがたった今、終わった。

結論から言うとやはり、当初行くつもりでいた精神クリニックに紹介状を書いてもらうことになった。

 

想像した以上の疲労感だった。

困り事を伝えるためにはこんなところでカッコ付けたら意味がない。

赤裸々に語る。

言葉に出して人に話すとやはり自分は精神的におかしい人なんだと感じる。

それが辛かった。

今朝、ここに来る前の私は普通だったのに。受診したことで患者だと自覚する。

まだ終わっていなかった。

しかし。

今から始まる。

新しい私に生まれ変わる作業。

家族に隠していない精神科医の通院は惨めな気分にならない。

これからプロの手を借り、おおっぴらに、堂々と新しい私が現れるのだ。

いまよりもっと大好きな自分に出会う。