私にしかできないこと

順調に減っている体重が昨日の朝、また1キロ増えていた。

もうあとは戻っていく一方と思い込んでいたので、ショックだった。食べ過ぎで太ったのと区別がつかないので、このところ食事の量は控えている。あの量で太るわけがない。

それでもまあ、誤差ってこともあるかと気を取り直し、その日は一日、心穏やかに平常心で過ごせた。

ところが今朝。また一つ、数字は大きくなっているではないか。

これは、もう・・やはり。

ガーンではなく、ドヨーンがふさわしい。

そのまま着替え、一階に降りていく。夫がコーヒーを飲んでいるところだった。

「おはよう。やっぱり昨日のは浮腫戻りだったみたい。今日もまた増えてる・・・。目も、ほら。少し腫れぼったいでしょ」

夫はやや、気の毒そうな顔をしてちらっと私の顔を覗き込み

「あ、ホントだ、この辺が少し、膨らんでるかな」

そう言って、自分のほっぺの当たりを下に引っ張る。

そこじゃないって、眼だって。と思いつつ、何、ほっぺたも下に垂れてるように見えるのかと、さらに落ち込む。

そのまま朝食を作るが、いつもならなんとも思わないのに、彼がテーブルに座り、新聞を読みながら食事が出てくるのを待っている姿が恨めしい。

だからと言って、今、台所にきてもらったところで何をしてもらいたいでもないんだが。

これを八つ当たりと人は言う。

結局朝食後、夫が二階に上がってからも、ドヨーンモードは続き、何もする気になれずぼんやりテレビを眺め続けた。

ずるずる観たいわけでもなく観続け、画面の時計表示が9時47分になったとき「さて」と思い至った。

このまま1日こうしているわけにもいかない。

明日も明後日もしばらくこの揺り返しが続くだろう。

もしかしたら結構長期戦かもしれない。

そしたら私は毎日こんなふうにどんよりし続けるのか。

こんなことしてたって、誰もなんとかしてくれない。

私の気持ちは私にしか立て直せないんだ。

私の気持ちは私だけが立て直すことができるんだ。

無理にテンションあげることはできないけれど、どっぷり不幸のどん底みたいに浸るのはもう終わり。

「さてさてさて」

そう声に出して立ち上がる。

トイレを掃除して、昼ごはんの下ごしらえをする。

やっぱり手を動かしていると、気が紛れはじめてくる。

マグロか、わたしゃ。

動いていないと淀むんだ。

明日、もしまた数字が増えていて、ドヨーンってなったら、9時47分までは落ち込んでいいことにしよう。