昨日の夜、「あなたに友達申請が来ています、承認しますか?」というメールがきた。
Facebookである。
一度、アカウントを作ったが、あまりにも場違いで、即、引っ込み退会した。
新参者の存在に気付いた知り合いたちから、友達申請がパパパパパっときたのが自分個人のページができてからものの数秒。
後から息子に聞いたところによれば、設定で自分の情報をどこまで公開するか、そこは後からいくらでも自由に調節できるらしかった。
誘われるがまま、かつての幼稚園、小学校、息子のサッカーチーム時代のママ友達とつながり近況をのぞきにいったが、それが私には辛かった。
ちょうど、体を壊し、引きこもっていたせいか、それぞれが綴る日常があまりに自分とかけ離れている。
起業した人、ゴスペルを習い始めた人、子育て支援をしている人、海外旅行を謳歌している人。
みんな、キラキラしてる・・。
で、あなたは?どんな感じ?
そう問われているような気がして、いじけ、すぐやめた。
それをどうして再開したのかというと、ジャズピアノ奏者の小曽根真さんが、今この時期、医療従事をなさっている方々や感染闘病している人々、そしてステイホームを頑張っているみんなに向け、ご自宅からライブを公開していると知ったからだった。
それを観たいがために、ログインに必要なアカウントをまた、作ったのである。
前回のことで懲りていたので、サブの別メールアドレスで気配を消して入会し、個人情報も全て未公開に設定した。
しかし、その初期設定をもたもたやっているわずか数分の間に「むむ、こいつは・・」と嗅ぎつけた人がいたようだった。
ガラガラガラガラっと大急ぎで下ろすシャッターをくぐり抜け、やってきてくれたのは、大学時代の友人だった。
夫との結婚をいち早く報告すると、「ちょっと会わせなさいよ」とその目で確認し「いいやつじゃない」と喜んでれた心の母。
一級建築士の資格も持つ才女なのに、何故か、鈍臭い私をかまってくれる。
こっちからは時々、お菓子を、向こうからはメヒカリやサンマの干物、トマト、産地のものを送りあうが、葉書とラインのやりとりだけで、もう何年も会っていない。
よく見つけたなあ。
おもいがけない出現に、嬉しくなりすぐに承認作業に入った。
彼女のページはシンプルで、登山に行きました、マラソンしてきましたと、卑屈な私を刺激しない。
彼女のために私もなにか投稿しようか。
どんなふうに書けばいいんだ。
よせばいいのに、参考までにと、知り合いかもと挙げられている数人から何人か選び閲覧した。
あぁっ!
ま、眩しいッ!
起業していた人は予約待ち多数抱えるパタンナーに、ゴスペルの人は単独ライブ満員御礼ありがとうと、子育て支援はなんと区議会議員に、華々しい成長をとげていた。
や、やばいっ、逃げろ。
瞬時退散。
ここは、やはり場違いのようだ。
誰も呑気にキンピラの味付けの研究なんぞしている奴はいない。
誰も私に「で、あなたの近況は?」などと聞いてはこない。
お伝えしたい事柄も特にない。
以前と事態はなにも変わっていない。
唯一違うのは
「みんなすごいなあ」
ドキドキしながら逃げてきたものの、だからといってなにか行動を起こすでもなく、そうかといっていじけるでもなく、ただびっくり仰天しているだけの私になっていたことなのであった。